コーヒー豆の精製方法のひとつで、世界で最も広く行われている方法。
収穫したコーヒーの実から、果肉、粘液質(ミューシレージ)を除去したあとで、乾燥させます。
生豆の水分含有率は、12〜13%で、火の通し方が難しく、極浅煎りは渋みが残ることがあります。
◆水洗式の精製処理の流れ
<果肉除去>→<粘液質(ミューシレージ)除去>→<水洗>→<乾燥>→<脱殻>
粘液質(ミューシレージ)の除去方法のやり方で、発酵槽を使用するやり方と機械処理をするやり方に分かれます。
※発酵槽処理:伝統的な手法で、発酵槽につけておくと、コーヒー豆に含まれる酵素と微生物の働きでミューシレージが分解されます。この方法は比較的低コストで処理ができるのがメリットですが、発酵槽につけておく時間がかかる(7~70時間)のがデメリットです。この方法で処理されたコーヒー豆を特に区別して「フリーウォッシュド」と言うこともあります。
※機械処理:ミューシレージリムーバーという機械によりミューシレージを除去する方法です。機械設置のコストはかかるものの、発酵槽より省スペース・短時間で、水の使用量が少ないため環境負荷が小さくなるのもメリットです。「パルプドアンドデミューシレージド」「メカニカルウォッシュド」と言う場合もあります。
また、乾燥方法としては、天日干しと機械乾燥があります。
前者は低コストですが時間がかかり(1~2週間)、後者は短時間(数十時間)で乾燥できますが機械のコストがかかります。それぞれの生産地の経済的理由や気候条件に合わせて、どちらかあるいは両者が併用されたりしています。
【メリット】
・果肉除去や水洗などの工程の際に、石や木などの不純物や死豆・未成熟豆が選別される(特に、乾燥後は見た目でわかりにくい未成熟豆が、果肉除去の際に選別できる点が大きい。未成熟豆は果肉が固く果肉除去機でうまく果肉が取れないため、その段階で選別可能)
・生豆の精製度が高く、粒もそろっていることが、欧米で高く評価されている
【デメリット】
・水を大量に使用するため、水資源が豊富な土地でないと難しい
・排水による環境汚染(特に発酵槽処理の場合)
・管理、衛生、掃除を怠ると、生豆の品質の低下に影響
<採用している主な生産国>
中南米、カリブ海諸国、アジア、アフリカ。
生産国の約7割がこの方法で精製しているとのことです。